4/24/2015

№47 円安で製造業は戻って来ますか

昨年末に、アップルが、横浜市に研究開発拠点を置くという話がメディアで話題になりました。日本国内で新たに雇用を生むという訳ですから、手放しで大歓迎です。

一方、日本国内にあった工場は、人件費の低い中国や東南アジアに移転して、国内の雇用が大幅に減りました。余った人員は、配置転換で異なる仕事に回されるか、サービス業に転職を余儀なくされました。

さて、昨今の円安で、日本国内の人件費コストは海外からみると低減しています。それで工場をもう一度呼び戻せるかというと、残念ながら見込みは薄いです。部品や加工品の工場を含むサプライチェーンが海外に移転してしまったからです。

さらに、生産人口が減少している日本国内では、工場が戻ってきても働き手を探すのは、容易ではありません。円安で割安感のある、優秀な技術者は、より稼ぐチャンスが増えても、分厚いミドルクラス向けの仕事は残念ながら戻って来ないのです。(下記記事はロイター)

4/07/2015

№46 投資とリスク

投資とリスクについては、残念ながら義務教育で習うことが少ないです。すべての国民が投資とリスクに関わっているにもかかわらずです。例えば、安全といわれる円建て銀行預金も、リスクはゼロではありません。日本という国が、破綻しない保証はないからです。

老後のセーフティネットの1つの年金原資が、最近になって株式市場に投入されているのは、国がリスクをとって高いリターンを得ようとしているからです。なぜなら、高いリターンがなければ、年金システムが近い将来破綻するからです。但し、株式が値下がりすれば、やはり破綻は免れません。

一部の年金には、個人でリスクをとる仕組みが導入されています。401Kとよばれる、確定拠出型年金です。各自が、債券、株式などの組み合わせを選んで、高いリターンを得られる可能性がある反面、国は年金額を保証するリスクを一部放棄したのです。

リスクが高い金融商品には、高いリターンが設定されます。ベンチャー企業に投資して、大半は損するものの、当たれば高いリターンが得られます。宝くじのほとんどが、ハズレですが、当たれば高いリターンが得られます。

アジアなどの新興国での投資には、タイ、バングラデシュなどの政治的不安定さ、中国、ベトナムなどの情報開示不足、パキスタンなどのテロや戦争などのリスクは伴います。しかし、それを加味しても魅力的なリターンが期待できます。それは、人口が増加する国では消費が増加し、経済規模が増加することが確実だからです。(図は、厚生労働省ウェブサイト)

4/04/2015

№45 日本、日本人と相性が良い国

海外ビジネスでは、単純にマーケットの状況だけで判断するのは早計です。ビジネスは、人間がからむので、やはり相性が大切です。日本は、アジアでも占領された経験が極めて短い、特異な国です。ですから占領される側の気持ちが分かりません。中国、韓国に嫌われるのは、仕方ない部分もあります。

しかし同様に軍国日本に被害を被ったアジア諸国は、例外なく親日です。なぜなら、中国、韓国と違って、日本がライバルだと思っていないからです。中国は、「中華思想」という世界の中心は、中国だと考えています。韓国も世界の中心国家としての自負があります。

アジア諸国では、中国人、韓国人は、現地人を見下す傾向にあるので、現地人には嫌われがちです。かつての日本もその傾向がありましたが、失われた20年を経て、没落しつつある日本人は、良い意味でプライドがなくなり、アジア諸国と協調しやすい状況です。また、中国の経済的、軍事的な脅威が、親日の傾向を強めている可能性があります。

また日本人には、だますより、だまされた方が良いという美徳があります。日本人はある意味、アジア諸国にとっては気前の良いカモでもあります。何しろ1,600兆円の金融資産があります。長期的円安傾向とはいえ、貨幣価値があるうちに、トライアンドエラーで親日国の親日国民とビジネスをスタートしてみてはいかがでしょうか。
(下記の画像は、アウンコンサルティングによる調査)