12/29/2014

№30 文化を知るには言語、文学

   今日は、タイのバンコクにオープンする和牛レストランの責任者の方とミーティングでした。タイには、日本の自動車産業が多数進出しているため、常駐している日本人が、4万5,000人いるそうです。製造業は成熟市場ですが、飲食業は、これからです。

   お会いした方は何と、日本での生活を整理され、片道切符で覚悟を決めて赴任されるようです。通いはじめて5年とのことですが、文字が異なるタイ語には、苦戦されているようです。むしろ外国人にとっての漢字、平仮名の如く、タイ文字はハードルが高いです。

   その場合、翻訳本を通して異文化に触れてみては、いかがでしょうか。外国文学というと、欧米モノに偏りがちな日本人ですが、各国に良い本があります。是非時間のある正月休みに、トライされてはいかがでしょうか。

   さて、筆者は年末穴場のベトナムリゾートで今頃、333ビールを傾けている予定でしたが、今日は夜もフィリピンビジネスミーティング2件目でした。少し早めですが、皆様一年お疲れ様でした。来年も駄文にお付きあい、よろしくお願いします。

12/28/2014

№29 海外詐欺の手口

   私が海外ビジネスに関わっていることを聞き付けた知人が、最近、投資の話を持ってきました。投資ですから、リスクはつきものなので、とりあえず聴いてみることにしました。何と金の鉱山の話でした。まさに山師ですね。

   ストーリーは、良くできてました。若い頃に海外を放浪していた時に、少数民族のゲリラにさらわれた。その後、再会し意気投合し、鉱山の採掘の権利を得た。採掘には、ファンドの投資が決まったが、調査費用が、足りない。2日以内に振り込まないと権利を失う。手数料払うから投資してほしいというのです。

  著名な日本の政治家や財界人と一緒に写った写真、採掘許可書の写し、現地有力者と一緒に写った写真などを見せながら、巧みな話術で説明が続きます。一般人が、確認しにくい資料や、時間的な切迫感が詐欺のポイントです。しかし、投資が決まったファンド向けの提案書や事業計画書が抜けています。

   紹介者がビジネスパートナーであれば、顔を潰さないように、お付きあいしても良かったのですが、おそらく紹介者自身が、お金を払ってしまったので、取り戻すために、次の犠牲者が必要なのです。皆さんの周りにも、いずれ投資話が来ますが、本物をつかむようお気をつけください。
(詐欺注意喚起情報https://www.jetro.go.jp/contact/faq/419/)

12/26/2014

№28 他人を儲けさせていますか?

   起業するときは、立ち上げるだけで精一杯です。ビジネスが軌道に乗って、ひとまず安心します。問題は、その先です。そのビジネス自体が、継続性があるかどうか。そして、あなた自身が、モチベーションを維持し、運営していけるかです。

   私が海外スモールビジネスをお勧めしても、あまり興味を示さない方々はいます。海外に興味がない場合は、興味が湧くようなお話をすれば良いです。しかし、一攫千金を狙うタイプの人は、少額の利益を長期に渡って得ることは、面倒なようです。

   個人で比較的大きな利益が見込めるといわれるものに、FX (外国為替証拠金取引)があります。手持ち資金の数百倍を為替の上下に賭ける金融商品です。しかしこれは、胴元の金融業者が確実に儲ける丁半バクチと変わりません。為替は24時間変動しますから個人で勝ち続けるのは、難しいようです。

   また、勝って利益を得ても、個人だけが儲かって、周囲には恩恵が行き届かないため、モチベーションの維持が困難です。アリババの創業者、ジャック.・マー(馬雲)は、「他人を儲けさせろ。そうすれば自然に自分も儲かる」と言っています。あなたの関わっているビジネスは、他人を儲けさせていますか?

12/15/2014

№27 希望が弱まる日本と次世代に残すもの

   今回の衆議院選挙では、過去最低の投票率でした。実に有権者の半数近くが、権利を放棄したのです。特に20代の推定投票率に至っては、 3割前後です。もちろん世代の近い立候補者ジェネレーションギャップや単なる無知、という理由で放棄したかも知れません。

   しかし、最大の理由は、日本の将来について諦めていることです。これから、年金問題など大変な時代になる、と脅されてばかりなので、不感症になっています。一方、諦めていない層は、日本脱出を計っています。特に、女性はコミュニケーション能力、語学力が高いので、国内の外資系企業勤務を経ずに、直接海外で働くケースも多いです。
(写真は、朝日新聞朝刊)
   給与は、現地通貨建てなので、給与水準の高い、欧米各国や、シンガポールを除けば、円建てでの収入は、減少します。しかし、10年後はどうでしょうか。低賃金の職場ばかりで、円安の日本にしがみついている人たちを大きく引き離して、豊かなライフスタイルを送る女性は多いでしょう。

   男性は、女性に比べて収入面で優遇されている日本では、比較的保守層が多いですが、まさにゆでガエル状態です。経済状態が悪くなっても行動せず、その時になったら考えるというスタンスです。その時になってからは、遅いのです。

   そして次世代のことです。このブログの読者層の皆さまが死ぬまでは、過去の蓄積で日本はそこそこ安泰です。しかし、皆さまのお子様、甥姪はいかがでしょうか。子どもや、甥姪がいないから自分たちだけ楽しく暮らせれば良いという人々は、頑張って資産を使い尽くすまで消費してもらいましょう。しかし、そうでない心ある人々は、自分の資産を維持、増加させるため責任を持って行動すべきです。

12/11/2014

№26 個人も一部海外移転しませんか

   製造業が、製造コスト削減を目的に、工場を海外移転するのは、一般的です。それ以外に、為替変動に伴うリスクを軽減する意味合いもあります。長期円安傾向なのに、国内に工場が戻らない理由のひとつです。

   円安によって、海外現地法人から、日本に輸出する際に、現地通貨ベースの売上が増えるのです。中国元は、20円間近ですが、この1年で、3割以上円安、すなわち中国現地法人の日本向け売上は、円換算で3割以上増えた計算になります。円換算で連結決算する企業にとっては、単に輸出しやすいという以上のメリットがあります。

   為替リスクは、個人にもあります。例えば、日本国内の不動産は、既に都心の高額タワーマンションを除けば、外国人の購入意欲は減っているそうです。買っても、円安で資産価値が目減りするからです。不動産で資産運用は、永らく安定的な資産防衛手法でしたが、黄信号が灯っています。

   元モルガン銀行東京支店長で伝説のディーラーといわれる藤巻健史さんは、筋金入りの円安論者で、ドル建ての金融商品を推薦しています。円高が続いた時期には、狼少年呼ばわりされましたが、ようやく彼の時代が来たようです。企業だけでなく個人も外貨建て収入源、もしくは外貨建て資産でリスクを分散すべきです。

12/10/2014

№25 欲のない20代を救う海外ビジネス

   ビジネスの立ち上げで、しばしば20代と接することがあります。驚くのは、お金に興味がない、もしくは稼ぐことが、カッコ悪いという風潮があることです。バブル末期に社会人になった筆者には、信じがたい現実です。この号のタイトルも大きなお世話かも知れません。

   生まれながらにして、両親は持ち家、望めば、大学に行かせてもらえる。一方、親が勤務先でリストラに合い、痛い目をみている体験もしています。端的に言うと、あまり日本の現状に期待していないのです。個人単位では、感動することもあるのですが、具体的な夢を持つ人は少ないです。

   彼らの琴線に触れるのは、実は人の役に立つことです。阪神大震災が、幼少期、東日本大震災を大人になって迎えます。無情感もありますが、生き残った、もしくは災難に合わなかった幸運を、何か意義のあることのために使いたいのです。ですから、NPOに良い人材は、集まりますし、ボランティアには、熱心です。

   こうした構図を利用して、低賃金で人材を搾取する企業は、少なくありません。人のためになる自分のビジネスが、彼らを貧困から救うキーワードかも知れません。相対的に貧しい発展途上国には、豊かな日本の20代を必要とするビジネスが眠っています。

12/09/2014

№24 元海外駐在員はピンキリ

   海外ビジネス立ち上げで、現地に行くと必ず出会うのが、日系の大手企業の元駐在員です。彼らは、高学歴で、競争を勝ち抜いたエリートですから、能力は高く、語学もできるし、現地事情にも明るいです。

   ホテル、レストランや夜の歓楽街には、大変詳しいので、不慣れな土地では、大変頼もしく、有難い存在です。しかし、事業のパートナーとしては、どうでしょうか。

   彼らが大手企業で働く限り、事務作業や雑務は、現地採用スタッフに任せきり。PCや、手を動かす仕事は、苦手です。一方、現地の提携企業や、政府高官とのパイプ役としては、いかんなく能力を発揮するのです。

   駐在国が発展途上国の場合、自宅にはメイドがつきますし、移動はお抱え運転手です。こうした生活に慣れると、もうやめられません。彼らは時間軸も現地化するので、日本式の対応を期待するとガッカリします。大手企業の元駐在員だから大丈夫だろう、という甘い考えは禁物です。

12/08/2014

№23 品質過剰と、グローバル化

   先週末、一足先にクリスマスパーティーに参加しました。その際に引き出物でいただいたのが、嬉しいことに、日本が世界に誇る愛媛県今治産のタオルでした。製造元の池内タオルは、原料も無農薬、無化学肥料の綿花を使っているので安心です。

   さらに感動したのは、スイスの商品安全性テスト機関のOeko-Tex Standard 100の中で、最も基準が厳しい幼児用商品対象のclass1の認定を受けていること。塩素漂白ではなくオゾン漂白で、重金属を含まない染料を使用していること。製造に必要な電力が風力で、最終洗浄には石鎚山の地下水を使っていることです。

   日本製品の品質は、世界一といわれますが、世界一厳しい消費者が、製品企画、原料調達、製造行程にこだわったメーカーを育てたとも言えます。もちろんその分コストはかさみます。誰もが買える訳ではありませんが、価格競争に巻き込まれずに済みます。

   サービスの分野でも日本式は、世界一繊細かつ、機微に富んでいます。日本の地図では、日本が世界の真ん中にありますが、世界的にはfar east (極東)であり、辺境です。高品質製品、ハイレベルなサービスが成熟したのも、この地政学的要因が、大きいのです。明治維新に至るまで、日本は他国の干渉をほとんど受けず、独自の消費者文化が構築されてきました。

   グローバル標準からすれば、日本製品、日本式サービスは、品質過剰といわれることも、少なくありません。しかし日本人が海外ビジネスに関わる際に高い信用を得ている理由が、過剰ともいえる品質の高さにあることを、忘れてはなりません。

12/06/2014

№22 「金持ち父さん」が伝えたかったこと

  「金持ち父さん   貧乏父さん」は、日系4世のロバート・キヨサキというアメリカ人の著書で、2000年に世界中でベストセラーになりました。

   当時、筆者はコンサルティング会社に勤めるサラリーマンでした。収入を増やしたければ、転職してより良い待遇で雇われるという時代でした。ですから、今一つ、本の内容がピンときませんでした。

   この本では、収入の質について書かれていました。世の中には、労働収入と権利収入があり、いわゆるお金持ちは、権利収入を得ているというのです。株をやらなくちゃいけないかと、暗い気持ちになりました。

   何しろ株や、為替は、基本的に上がるか下がるかに賭ける、バクチてすから、一度始めると常に心配し続けなければなりません。ただ、売買で稼ぐのではなく、配当収入が権利収入だと気付くことはできました。

   ただ、投資する資金がなければ、資金をつくるために、事業を起こしましょうというのが、キヨサキ氏のメッセージです。必ずしも会社を設立する必要はありません。本業をやりながら、個人事業主でもよいから自分のビジネスをスタートするキッカケを得られた本です。

12/01/2014

№21 それでも円にこだわりますか?

   日本円が変動相場制になってから、6回目の円安を迎えています。過去と異なるのは、構造的な要因で円安になっていることです。外国投資家は、円売り押しです。安倍晋三首相がこのままなら、この傾向はしばらく続くでしょう。

  愛国者云々はさておき、円ベースで現金資産を保有している方は、実質マイナス金利です。極端な話、このままでは、韓国、中国、台湾、グアムなどの近場にしか、海外旅行に行けなくなります。

   筆者は、今世紀中は、アジア押しですので、アジア通貨ベースでの収入源を得られるよう、画策しています。ドルは、換金性の必要から、価値が目減りしても、基軸通貨であり続けます。しかし、遊び金のある方は、アジア通貨です。

   筆者の外資系コンサルティング会社時代の仲間たちでも、シンガポールやベトナム、上海に拠点を移しているケースは、多々あります。もちろん節税目的もあるでしょうが、主眼はアジア通貨での収入源です。

   リスクは高いですが、今世紀半ばには、インドネシア、フィリピンは、現在の10倍規模に経済成長が見込まれます。騙されたと思って、現地に銀行口座を開くのもありです。続きは次回以降お伝えします。

№20 沖縄とフィリピンに共通すること

   日本文化を語るとき、沖縄から、フィリピンを経由して、南方へと続くルートは、欠かせない。この2地域に共通するのは、大国に蹂躙されながらも、明るさを失わず、寛容の心で周囲の文化を受け入れ融合してきたことです。

   そのため、人種的には、混血が進み、美男美女の産地であり、食文化も豊かです。たまたま、周囲により規模が大きい都市や、地域に囲まれているため、経済的には、発展が遅れています。

   日本経済は、残念ながらピークを過ぎ22世紀まで長期低迷期に入ります。しかし、沖縄もフィリピンも物価水準が低く、円安とはいえ未だにアジアの基軸通貨の一角を占める日本円を活用するには、魅力的なエリアです。

   第二次世界大戦で、日本国家に痛い目に遭わされながらも、日本の影響圈にとどまるエリアへの投資は、まず相手を豊かにし、その後、リターン得れば良いのではないでしょうか。マネーゲームではなく、社会貢献をしたければ、この2地域に注目です。

  (写真は、再びフィリピン料理、錦糸町のレストランにて)

11/27/2014

№19 マイクロビジネスのススメ

   このブログのタイトルのスモールビジネスは、起業して、会社運営といった大げさなイメージがあるかも知れません。しかし、このブログの趣旨は、個人単位で、本業をやりながら、空き時間でもできる小規模なビジネスに興味を持って頂けたら嬉しい、ということなのです。

   ITバブルが盛んだった2000年前後に、マイクロビジネスという言葉が登場しました。数万円の初期投資で、月に数万円の収入源を持つというイメージです。インターネットの黎明期だったので、ネットで稼ぐという流れに乗ったものかも知れません。

   しかし、余りに多くの方が同じことをやり始めたため、余り儲からなくて、辞めた方が多かったようです。特に物価水準が高い日本では、数万円のために、新しいことをやり続けるのは、面倒に思えたのかも知れません。

   確かに数万円は、日本では、会食や買い物で消えてしまいますが、物価水準の低い、発展途上国では、大卒若手の月収に相当する場合が多いのです。直近のリターンは、少ないですが、経済成長とともに、長期的なリターンが見込めるのです。

11/24/2014

№17 日本式ビジネスの競争力

  日本式ビジネスというと、過剰品質でガラパゴス化した日本製品のイメージが浮かびます。国内に競合企業が多いために、他社と差別化するために常に改変が求められたからです。

   しかし、小売業、サービス業の世界では、この過剰とも思える品質が、付加価値として、海外で競争力を持つ場合があります。例えば、コンビニエンスストアという業態があります。

   元々コンビニは、米国で生まれたビジネスです。1970年台にイトーヨーカ堂が、セブンイレブンの日本国内での営業権を米国サウスランド社から買い取り、国内で17,000店を展開させています。

  コンビニ本家の米国本社が、経営危機となり、日本のセブンイレブンが、逆に買収。日本の単品管理を導入し、店員の意見を仕入れに反映させるなど、日本式により復活。米国でも1兆円を超えるビジネスとなっています。日本式の付加価値は、スモールビジネスでも活かせるはずです。(画像は、NHKスペシャル11月8日放送分)

11/20/2014

№16 リスク軽減がカギ

   取りあえず会社を設立して、事務所借りて失敗するケースは、後をたちません。海外で会社を立ち上げて、オーナーというと聞こえは良いですが、立ち上げてから大変です。

   業種によっては、外資規制があり、外国人の出資比率が制限されます。そのため、現地人パートナーの名前だけ借りる場合があります。例えば、フィリピンでは、外資100%の会社の場合、最低資本がUS20万ドル(約2,300万円)必要なので、現地パートナーと、共同出資のかたちを採ります。

   気を付けなければならないのは、信頼できるパートナーかということです。事業が軌道に乗り、パートナーから裁判で実質的な経営権、所有権が取り上げられてしまうことがあります。

   軌道に乗らなければ、経費が発生し続けます。法人税などの税金はともかく、発展途上国の場合、役人への賄賂を要求されることがあります。スポンサーになるにも、事業主になるにもリスク軽減がスモールビジネスのカギです。

11/19/2014

№ 18 2050年の世界

   「2050年の世界」という本があります。
36年後、世界がどのようになっているか、という大胆な予測に関する本です。かなり先の話なので、次世代に興味のない方には、大きなお世話かも知れません。

   将来予測は、多くの場合、悲観的なものが多く、外れることも多いです。例えば、私が小学生だった頃、石油は30年以内に枯渇するといわれていましたが、30年以上経た現在も、枯渇していません。食糧不足も、同様です。

   「2050年の世界」は、英国のエコノミスト(Economist)という雑誌の編集部がまとめた本です。エコノミストは、日本の高度成長が始まって間もない1962年に、Consider Japan(邦訳タイトルは「驚くべき日本」)という特集で日本の経済大国化を予測し、的中させたメディアです。

    エコノミストは、人口規模、人口増減、年齢別人口構成に早くから着目したため、確度の高い予測ができたのです。日本は残念ながら、この本の主役ではありませんが、次世代に何を残せるか、参考になるはずです。
  

11/18/2014

№15 円安から個人が防衛できること

  日経平均株価が17,000円を割り込みました。安倍政権が消費税の10%へのスケジュールを先送りすることへの、市場からの警告メッセージと思われます。

   興味深いのは、株価が下がったのに、円も安くなっている点です。円安で日本からの輸出が増え、輸出企業の業績が改善されるという期待で、株価が上がるというサイクルが崩れたのです。

   これは、深刻な事態です。円安で輸入コストが上がり、将来的に製品価格に転嫁され、物価が上昇します。一方、対外通貨に対して円安で、円建て預貯金などの資産が目減りするのです。

   金融資産については、外貨建てに移すことでリスクヘッジできますが、容易に現金化できない不動産は、リスクの高い資産となります。中国人富裕層が購入するような、高額物件は良いのですが、人口減少と高齢化で需要が減り、長期的に価値が目減りしています。

   さらに問題なのは収入源です。日本での給与収入は、ごく一部の外資系を除き、日本円で受け取っています。円安は、長期的なトレンドと考えられるので、リスクヘッジするには、収入源の一部を外貨建てにする必要があるかも知れません。

11/17/2014

№14 ビジネスパートナーの文化を理解する

   海外進出が上手くいっている個人、企業に共通するのは、相手国、ビジネスパートナーのバックグラウンドを理解しようと努力していることです。

   日本国内では、かつては単一民族、単一文化という認識が一般的でした。確かに、共通語の日本語の普及が行き届き、教育内容も共通化され、その状況は安定していました。日本に定住する外国人にも、日本化が求められました。

   そのため、日本人が海外文化と接するとき、異文化と距離をおき、異なるものとして、解釈せずに、片付けてきたように感じます。ごく少数の留学経験者、海外勤務経験者しかいなかった1980年代までは、です。

   しかし、2014年6月現在で、日本国内で在留資格を持つ外国人は、208万人。60人に1人は、外国人です。彼らは、様々な宗教、文化、教育のバックグラウンドを持っています。キリスト教でもカトリック、プロテスタントという違いだけでなく、多数の宗派があります。

   宗教、政治の話は、社交上は、タブーと言われます。親しくなるまでは、食文化の違いは、相互理解の潤滑油になります。幸い日本人は、食文化に関しては、多様性を受け入れる懐の深さがあります。料理一皿、お菓子一切れでもいいのです。簡単なところから興味がわけば良いのではないでしょうか?

   (写真は、フィリピンの魚料理と、日本の焼きそば)

11/15/2014

№13 BRICsとNEXT11

   世界の経済成長を考えるとき、BRICs4カ国、すなわちブラジル、ロシア、インド、中国は欠かせません。いずれも人口大国または、および資源大国です。

   しかし、個人でできるスモールビジネスに関しては、この4カ国は、少しハードルが高いような気がします。そこで、BRICsに次いで発展するといわれるNEXT11に着目してみましょう。

   インドネシア、フィリピン、トルコ、韓国、イラン、パキスタン、バングラデシュ、メキシコ、ベトナム、エジプト、ナイジェリアです。こちらも韓国を除けば、人口大国です。
   ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのジム・オニール会長によれば、その中でも特に有望なのは、トルコ、メキシコ、韓国だといいます。所得や発展レベルが高いため、成長の条件が、整っているからだそうです。

   そして、従来からの新興国である、インドネシアとフィリピンが、それに続くという。生産性が向上すれば、との条件付きですが…   これは、あくまでも金融業界からの視点なので、消費型ビジネスからは納得がいかないかも知れません。

11/11/2014

№12 日本カルチャー、日本人の強み

   失った20年といわれ、元気のない日本経済ですが、発展途上国では、日本の評価は高いのです。戦後焼け野原から一時は世界ナンバー2まで、上り詰めた経済は、成功モデルとなっています。

   例えば、サービスレベルの高さ、勤勉さ、正確さ、品質レベルの高さは、世界中からリスペクトされています。その背景にある日本文化への関心も高まっています。歌舞伎などの伝統芸能だけでなく、アニメなどのオタク文化もです。  

   こうした要素が相まって、日本国は、政治が二流であるものの、一流の日本人に関わりたい外国人は、多いのです。海外スモールビジネスも、日本人が戦略を考え、オペレーションを現地人に早期に移行するのであれば、現地側のパートナーは、容易に見つかるはずです。

   ただし、その場合、あくまでも現地文化をリスペクトした上で、ノウハウを伝授するというスタンスが必要です。政冷経熱といって、日韓の政府同士は、関係が最悪でも、韓国で開業して、立派にビジネスを伸ばしている仲間たちは、現地スタッフと良好な関係を築いています。

11/10/2014

№11 消費型ビジネスが伸びる国

   経済の発展とともに、海外投資は、消費型ビジネスに移行していきます。まだ物価水準が低かった中国に、1997年にイトーヨーカ堂が進出したのは、その一例です。

   ホンダがトヨタに先駆け中国に進出したのも、製造コストを下げて第三国に輸出するより、現地市場を狙ったものです。当初は、円換算の売上、利益は小さかったものの今では重要な市場に成長しています。

   通常GDPの構成要素で最も多いのは、消費です。消費型ビジネスで有利なのは、人口が急増している国です。投資回収サイクルが短くて済むからです。

  国連の2050年の人口推計では、インド、中国、米国、ナイジェリア、インドネシア、パキスタン、ブラジル、バングラデシュ、エチオピア、フィリピンがトップ10です。
  

11/08/2014

№10 円安、大丈夫ですか?

   日本円の対ドルレートが、105円を超えて、7年ぶりの円安になっています。金融緩和、米国の経済状況など、きっかけはあるものの、長期的な円安は、規定路線です。

   成長する新興国の通貨に対しては、もっと極端で、例えばフィリピンペソに対しては、この1年で30%以上、下落しています。韓国ウォンに対しても同様です。

   しばらくぶりに海外旅行をされた方は、外貨に両替して、がっかりすることが多くないですか?株価が上がったと、喜ぶ方は多いですが、ドルベースでは、横ばいです。

   目先の効く方は、既に収入の一部、もしくは全部を円以外の通貨で受け取っています。例えばシンガポールの平均年収は、日本を上回っています。そろそろ、外貨の収入源を探してみませんか?

11/06/2014

№ 9 直接聴く理由とは

   ウェブ上の情報量が増えるにつれ、ナマの話を聴く機会が減っていませんか?時間をかけて移動し、お金を払って人の話を聴く理由は何でしょうか。

  YOUTUBEで、行きたい場所の景色をみたら、実際に行きたくなりませんか?聴くという行為は、体験です。どんなタイミングで、どんな環境で聴くかで、同じ情報でも違った作用が働きます。

   実は、私のような話し手も、セミナーの参加者との相互作用で、伝える内容が変化するのです。かつてビジネスセミナーの参加者が、PowerPointの資料を持ち帰っていましたが、ほとんど意味のない行為です。

   前回からスタートした、海外スモールビジネスセミナーでは、一切PowerPointを使いません。参加して、体験して内容を自分のモノにしてみてください。

11/05/2014

№ 8 コンサルタントに要注意

  以前のブログで、コンサルタント業は、手軽に起業できる業種だとお伝えしました。という訳で、コンサルタントは、ハッキリ言って、ピンからキリまで、玉石混淆です。一流のコンサルタントは、わざわざ中小企業診断士の資格をとらないので、資格も当てになりません。

  不案内な海外で現地情報をコンサルタントに聞くと、「いろいろ大変」だから、全部お手伝いしますよ、というパターンです。会社設立登記、諸官庁への許可申請、届出、経理など、実は自分でもできますが、時間を買いたい人は、大いに活用すべきです。

  しかし、現地での事業に失敗して、コンサルタントで食いつないでいる人も少なくないのです。海外で事業を手掛ける日本人が、口を揃えて「現地の日本人は要注意」というのが、興味深いです。

11/03/2014

№ 7 起業のカギは在日外国人

   起業に必要なのは、資金、人材、ノウハウです。日本にいながらにして、海外ビジネスを起業するには、現地側での人材が、必要不可欠です。

   そこでカギとなるのが、日本に在留する外国人です。2011年末時点で、登録されているだけで、200万人の外国人がいます。その内訳は、中国が全体の32.5%を占め,以下,韓国・朝鮮,ブラジル,フィリピン,ペルー,米国の順です。

   在日外国人は、日本語でコミュニケーションできる場合が多く、外国語が苦手な日本人にとっては、最も身近な存在といえます。日本在住の外国人は、出身国に人脈があり、特に留学生は有力者の子弟であることも、多々あります。

   文化の違いは、海外ビジネスの障壁の一つですが、日本文化に通じた在日外国人は、強力な味方です。自分の周囲を見渡してみたら、必ずこうした人材がいるはずです。


11/02/2014

№ 6 海外スモールビジネスの業種

 海外ビジネスで、最初に思い付くのは、飲食店です。最近では、和食を始め、居酒屋、ラーメン店などが増えています。複数店舗のチェーン展開による事業拡大の夢も持てます。
 次に多いのが、不動産業。値上がりする新興国への投資物件を販売する仕事です。電話一本でスタートできる一方、物件が完成しなかったり、内装、水回りのクレームリスクがあります。
 そして、旅行会社。来訪する日本人が増えるにつれ、航空券、宿泊、現地交通機関の手配の需要が高まります。電話一本でできる、ガイドは、より容易な仕事です。
   美容系の、ヘアサロン、ネイルサロン、エステティックサロンなども、有望な分野です。ヘアケア用品、化粧品などの併売も見込め、リピートにより、安定的なビジネスといえます。
 そして、コンサルタント。現地での事業が思うように展開できなくても、起業経験を基に、後からやってくる日本人相手にコンサルティングするという具合です。事務所の賃貸契約、会社設立登記、銀行口座開設、経理業務、電話受付業務のアウトソーシングなど現地事情に不案内な顧客を支援するのです。

10/28/2014

№ 5 有望なマーケットの特徴

 日本は、世界でも有数の経済大国です。人口が多いことに加え、消費の中心となる世代が増え続けたことで、成長したのです。

 日本の高度成長は、1955年に始まり、石油ショックが起きた1973年まで、18年間も続きました。

 1955年の日本人の平均年齢は、28歳。バブル崩壊の1991年で、37歳。以来、日本のGDP は、20年以上約500兆円のままです。

 アジアには、日本の高度成長初期のようなマーケットがあります。フィリピンの人口は、2013年に1億人を超えましたが、平均年齢は23歳です。

 現在のフィリピンのGDP は、約27兆円と日本の20分の1ですが、2050年には、人口1億7000万人。今後日本に匹敵する規模のマーケットに成長する潜在能力を秘めているのです。

10/22/2014

№ 4 「会社員」は、職業ではない

 海外旅行先の国に入国するとき、提出書類に職業記入欄があります。日本人で、会社で働いている人は、無意識に「会社員」と書いていませんか。

 例えば、ニュージーランド政府が規定する職業は、Aから始まるものだけで、46あります。その中に、「会社員」に相当するものはありません。

「会社員」は、雇われているという、雇用状態を表すだけで、職業ではないのです。もし経理の仕事をしていたら、Accountantですし、秘書なら、Securetaryです。

 さて、海外ビジネスを考えるとき、発想転換しなければならないのが、雇われるのではなく、個人事業主、または、雇う側にまわるということです。だからといって、大げさに考えることはありません。

 飲食チェーンで働いている人が、自分の経験とノウハウを活かして、飲食コンサルタントの仕事を始める。小売店のバイヤーをしている人が、ネットショップを開業する。自分の仕事を棚卸しして、その延長線上を眺めてみると、意外にできることは、少なくありません。次回は、起業のポイントや、落とし穴について取り上げます。

10/20/2014

№ 3 パスポート持ってますか?

 海外ビジネスをスタートするきっかけは、その国を訪問するか、その国出身の友人ができた、という経験が大きいです。

 以前、ベトナムビジネス視察団を企画し、約30人のビジネスオーナーと同行しました。そのうち何人かは、すっかりベトナムのファンになり、実際に現地に投資し、ビジネスをスタートし、大成功をおさめている方もいます。

 視察という大げさなものではなく、旅行でも良いのです。私は、フィリピンでスモールビジネスをスタートしましたが、マニラに転勤した友人を訪問し、現地に親近感を持ったのが、きっかけです。

 2013年末の旅券統計によると、日本のパスポートの保有者は、約3,000万人です。人口が約1億2,700万人ですから、4人に1人以下しか、パスポートを持っていないのです。20代のうちに、海外を見て、体験することで、道が拓けることに、気付いてほしいです。

10/18/2014

№ 2 成長する市場と、失われた20年

 日本は、バブル崩壊の1991年から、20数年経ちますが、経済の規模を表す、GDP(国内総生産)の規模は、変わっていません。これが、「失われた20年」といわれる理由です。その間、日本を除くほとんどの国は、大なり小なり成長を続けています。

 長らく、日本は、米国に次いで、2番目の経済規模を誇っていましたが、近年、中国に抜かれ、第三位に転落。2050年頃には、インド、インドネシア、ブラジル、メキシコにも抜かれる見込みです。

 その大きな要因は、少子高齢化に伴う、生産人口の激減です。稼ぐ人が減れば、お金を使う人が減る。縮小する市場に投資する企業も減る。日本企業は、東南アジアなど、成長する市場にターゲットを絞りつつあります。

 日本で生活していると、変化に気付きにくいのですが、海外に旅行すると、同じ金額で買えるモノが減っていませんか?成長する市場では、賃金があがり、物価も上がっているからです。

 何もしなければ、1,400兆円を超える金融資産は、目減りする一方です。今の20代は、貯金が趣味という人が多いようです。その一部でも成長する市場に投資してみては、いかがでしょうか。成長市場の動向に、着目することで、視野が、広がり、あなたのキャパシティも広がります。

10/17/2014

№ 1 日本にいながら海外ビジネスを持つ

 海外ビジネスというと、語学、人脈、商習慣や法制度の違いが、ハードルとなります。しかし、そうした、ハードルを乗り越えて、日本の外に、チャンスをつかむ方法は、あるのです。問題は、誰から、どういうタイミングで話を聴くかです。

 私は、サプライチェーンマネジメント(SCM)を専門にするコンサルタントです。顧客企業のサプライチェーンが、海外に広がるにつれ、私の行動範囲も気が付けば、30カ国に広がってました。

   初めての海外出張は、フィリピンでした。以来、仕事でアジア、ヨーロッパ、アメリカに関わってきました。文化や価値観の違いを認め合えれば、世界が広がることを実感してきました。

このブログでは、20年間のコンサルティング経験から得た知見、知識を読者の皆さんと共有していきたいと思います。1人でも多くの方が、海外ビジネスの魅力に興味を持っていただけたら嬉しいです。