12/04/2015

№54 年収は、いくら欲しいですか

 首都圏在住の30歳独身男性会社員に、楽天が調査した際の理想の年収が、興味深いです。30歳で916万円、40歳で1,119万円だそうです。首都圏は、家賃が高いので、この位ないと生活が苦しいということだと思います。

 実際には、国税庁の調査によれば、平均年収は、30-34歳で男性446万円、女性301万円、40-44歳で男性564万円、女性290万円です。(平成26年 民間給与実態統計調査)

 問題はこのギャップを埋めるために、何か取り組んでいるかです。社内で昇進して、収入を上げるのが日本では一般的ですが、欧米では、転職により収入を上げます。また欧米では、副業を持つ人は少なくないですが、日本ではタブーのように扱われます。

 日本では、永らく終身雇用が一般的でした。しかし、多くの企業が国際競争にさらされ、合併や業績不振によるリストラも増えてきました。会社にとってみれば副業がある社員の方が、切りやすいですし、副業があれば、失業による収入減も限定的です。

 また、男女の賃金格差が高いのも気になるところです。高収入の男性と結婚できれば良いですが、現実的には、大半の女性は失敗します。30歳で年収1,000万円以上の男性は、わずか1.5%しかいません。

 30歳までに結婚して、マイホームを持つという高度成長モデルは、もはや幻想でしかありません。共働きが一般的になるにつれ、収入の低い女性は、男性にとってリスクが高いので、選択されにくくなります。さて、あなたは、いくら年収が欲しいですか?
(下表は、国税庁調査)

11/05/2015

№53 なぜ起業準備すべきなのか

   日本の景気は、今年の4月以降停滞しているようです。中国人観光客の「爆買い」、失業者の64カ月連続減少、というニュースを聞くと、ちょっと不思議な気がします。
   私の本業は、経営コンサルティングですが、コンサルティング業界では人手不足です。大手コンサルティング会社などは、未経験者をにわかコンサルタントに仕立てて、顧客企業に送り込んでいる状況です。
   コンサルタントを使う企業は、経営に余力があるうちに、人口減少を前提にした業務改善をスタートしています。少数精鋭の正社員を残し、足りない作業は、契約社員、派遣社員、アルバイトでも回せる態勢にするのです。今、正社員だといっても実は安泰ではないのです。
   かつては給料の高い40代、50代がリストラの対象になりましたが、そのために日本のメーカーは、技術の流出を招きました。グローバル企業ではノウハウや経験の少ない若手からリストラするのが常識です。サラリーマンは、勤めている会社で頑張るだけでは、危ないです。
 
   固定費である正社員の給料を減らして、変動費化することで、企業はリスクを減らしています。しかし、この改善活動が進むと、景気が悪くなると、一斉に解雇が進み失業者が続出します。
   オリンピックの翌年は、開催国では例外なく景気が悪くなるため、外国人投資家は、日本脱出を図っているようです。また、日本人でも、高額所得者は、住居や納税地を海外に移してリスクを減らしているようです。定期的な給料をもらっているうちに、起業の準備をするなど、景気悪化に備えるべきです。
(画像は、総務省統計局)

6/30/2015

№52 一時的円高とギリシャ問題

ギリシャ情勢により、一時的に円高になっています。ギリシャが債務不履行(デフォルト)状態になることで、貸し手のEU諸国が打撃を受ける。その思惑で、EUの通貨EUROから、比較的安全な円に資金を避難させる動きがあります。
実は、もう少し深読みをすると、今回ギリシャに強硬に改革を迫っているのはドイツです。ドイツとしては、ギリシャ危機でEUROが安くなると、輸出がしやすくなります。ドイツ銀行などの金融機関が大打撃を受けても、影響は限定的だと考えているかも知れません。
同じく財政状態の悪いイタリア、スペインもデフォルトになると、世界経済にも大きな影響が出るでしょう。さて、同じく毎年収支がマイナス40兆円と財政が最悪な日本はどうでしょうか。国の借金残高は1,000兆円を越えています。
日本の場合、ギリシャなどに比べると、国債の格付けが高いので、低い金利で国債を引き受けてもらえます。しかし、じりじりと日本の格付けは下がり、ムーディーズ、S&P、フィッチいずれも、昨年から今年にかけて上から5番目へと1段階引き下げています。日本国民の金融資産があるうちは良いですが、先行きは不透明です。

6/23/2015

№51 海外投資のリスク

海外投資のリスクというと、為替や、格付けによる安全リスクが一般的です。しかしながら、世界経済が巨大化し、リスク要因も複雑化してきました。

まず、地勢学的リスクがあります。例えば、米中が戦争状態になったとき、日本列島は、中国に対する防波堤として戦場になる可能性があります。北朝鮮が崩壊すると、大量の難民が漂着するでしょう。

次に不確実性のリスクです。経済の規模が小さかった戦前ならば、恐慌から回復する可能性がありますが、現在の巨大な経済は、要素の組み合わせが多すぎて、人知をもって予測できません。10年以内に人工知能が解決するかも知れませんが、そのときは、開発一番乗りが一人勝ちして、残りは貧困層に脱落します。

つまり、極端な状態が起きる可能性があります。すでに時代遅れな、マルクス共産主義による分配が復活し、北朝鮮のように鎖国をする国が増えるかも知れません。21世紀以降のスーパーパワー、中国とインドの選択に世界の未来がかかっているかも知れません。

6/01/2015

№50 日本経済は大丈夫か

日本と同様に経済が低迷しているユーロ圏では、国の家計に当たる財政に、厳格なルールがあります。ユーロ圏では、ギリシャなど財政破綻した国を、他の加盟国が助ける必要があるため、落伍する国を作りたくないのです。

ユーロ圏では、財政赤字はGDPの3%、累積赤字は、GDPの60%を超えると是正勧告を受けます。日本の場合、2014年の財政赤字はGDP比、6.6%、債務残高は、233.8%です。EUの基準では、日本は財政破綻国家です。

では、なぜ日本はギリシャのように、経済が崩壊していないのか。それは、ギリシャと異なり、日本は借金し放題の国だからです。債務の残高は、1,000兆円を超えていますが、日本国民の金融資産は、株高の影響もあり、1,700兆円を超えています。これはアメリカに次いで世界第2位の規模です。

日本国民の資産が大きいので、日本円の信用性が高いのです。乱暴な論理ですが、いざというときには、国民の資産で国の借金を帳消しにできる訳です。遠くない過去に日本は、国民の金融資産を消滅させた実績があります。1948年に新円切り替えにより、現在の価値で、1人当たり100万円を超える金融資産は、消滅させられました。

2020年以降、急激に悪化する日本経済。ハードランディングが避けられない場合、最悪の事態も視野に入れておいた方が良いかも知れません。日本人は近い未来は悲観的、遠い未来には楽観的ですが、その時になってから慌てても、遅いことは歴史が物語っています。

5/28/2015

№49 円安が第二段階に突入

しばらく安定していた為替レートが、円安に動き始めました。1ドル124円台は、2002年以来、14年ぶりの円安水準です。アベノミクスの影響もあり、1ドル80円台から、120円で最近は比較的安定していました。それが急落したのは、アメリカ経済の見通しが明るく、日本経済のそれは暗いからです。
  
日本円で稼ぎ、日本円で消費するほとんどの日本人は、あまり気にもならないでしょう。しかし、対ドルで考えれば不動産や円建て預金など国民の資産はこの3年で3割も目減りしたのです。給料も3割安ですから、もはや海外旅行で免税店に行っても買卯気が起きません。

一方、日本に来る旅行客にとってみれば、全てが安く、中国人による、いわゆる爆買いが起きるのは、必然です。東京都心のタワーマンションも、中国人に人気で、物件によっては、半分が中国人に買われたものもあるようです。

外国人による消費や投資は有り難いものですが、買われているうちは良いですが、売られ始めると、暴落が怖いです。2020年の東京オリンピック以降、投資が激減するため、来年以降、外国人投資家は売り抜けを開始します。

さらなる円安も日本売りを加速化します。1986年のプラザ合意で円高がスタートした1ドル160円程度までは、覚悟した方が良いかも知れません。このまま、資産や収入の価値が半減しても我慢しますか。それとも何かアクションをとりますか。(円ドルチャートは、ロイター)

5/06/2015

№48 仕事を選べる国、選べない国

   日本ではTPPを受け入れると、農業が壊滅すると、ニュースになっています。実はTPPに関わらず、日本では農業は衰退気味です。理由は、後継者不足です。両親が農家でも、子供は農業をやりたがらないのです。

  農業をやりたくても、できない事情もあります。日本の農業は、秋田県の大潟村、長野県の川上村や北海道の十勝地方等をのぞくと、生産性が低くて、収入が低いのです。ですから副業で収入の低さを補います。農家は163万戸ありますが、そのうち副業を持つ兼業農家が118万戸です。

  日本の高度成長時代は、道路などのインフラ投資が多かったので、建設業が農家の主な副業になりました。しかし、国の財政難で地方の仕事が減っているので、兼業農家が成り立たない。それが農家の後継者不足の要因の1つです。

  元々、明治時代に日本で産業革命が起こるまで、日本人の大半は農民でした。江戸時代の日本の人口は、約3,000万人ですが、その8割以上が、農民です。それは、他に仕事がなかったからです。産業の発展とともに、製造業、サービス業に雇用がシフトするのが一般的です。逆にいえば、仕事を選択できるようになるのです。

   一方、発展途上国では、仕事の種類が限られているので、農業に留まる人が多いのです。インドネシアやフィリピンでも、農業従事者は、3割以上います。農村ではそれ以外に仕事がなく、仕事が選べないのです。都市に出てきても、住居コストが高いし、学歴やコネがないと就職できなかったりです。しかし、人口が急増する途上国では、いずれは製造業が発展し、消費の中心になる中間所得層が急増はずです。(下表は、日本の農業就業者推移、出所は総務省統計局)

4/24/2015

№47 円安で製造業は戻って来ますか

昨年末に、アップルが、横浜市に研究開発拠点を置くという話がメディアで話題になりました。日本国内で新たに雇用を生むという訳ですから、手放しで大歓迎です。

一方、日本国内にあった工場は、人件費の低い中国や東南アジアに移転して、国内の雇用が大幅に減りました。余った人員は、配置転換で異なる仕事に回されるか、サービス業に転職を余儀なくされました。

さて、昨今の円安で、日本国内の人件費コストは海外からみると低減しています。それで工場をもう一度呼び戻せるかというと、残念ながら見込みは薄いです。部品や加工品の工場を含むサプライチェーンが海外に移転してしまったからです。

さらに、生産人口が減少している日本国内では、工場が戻ってきても働き手を探すのは、容易ではありません。円安で割安感のある、優秀な技術者は、より稼ぐチャンスが増えても、分厚いミドルクラス向けの仕事は残念ながら戻って来ないのです。(下記記事はロイター)

4/07/2015

№46 投資とリスク

投資とリスクについては、残念ながら義務教育で習うことが少ないです。すべての国民が投資とリスクに関わっているにもかかわらずです。例えば、安全といわれる円建て銀行預金も、リスクはゼロではありません。日本という国が、破綻しない保証はないからです。

老後のセーフティネットの1つの年金原資が、最近になって株式市場に投入されているのは、国がリスクをとって高いリターンを得ようとしているからです。なぜなら、高いリターンがなければ、年金システムが近い将来破綻するからです。但し、株式が値下がりすれば、やはり破綻は免れません。

一部の年金には、個人でリスクをとる仕組みが導入されています。401Kとよばれる、確定拠出型年金です。各自が、債券、株式などの組み合わせを選んで、高いリターンを得られる可能性がある反面、国は年金額を保証するリスクを一部放棄したのです。

リスクが高い金融商品には、高いリターンが設定されます。ベンチャー企業に投資して、大半は損するものの、当たれば高いリターンが得られます。宝くじのほとんどが、ハズレですが、当たれば高いリターンが得られます。

アジアなどの新興国での投資には、タイ、バングラデシュなどの政治的不安定さ、中国、ベトナムなどの情報開示不足、パキスタンなどのテロや戦争などのリスクは伴います。しかし、それを加味しても魅力的なリターンが期待できます。それは、人口が増加する国では消費が増加し、経済規模が増加することが確実だからです。(図は、厚生労働省ウェブサイト)

4/04/2015

№45 日本、日本人と相性が良い国

海外ビジネスでは、単純にマーケットの状況だけで判断するのは早計です。ビジネスは、人間がからむので、やはり相性が大切です。日本は、アジアでも占領された経験が極めて短い、特異な国です。ですから占領される側の気持ちが分かりません。中国、韓国に嫌われるのは、仕方ない部分もあります。

しかし同様に軍国日本に被害を被ったアジア諸国は、例外なく親日です。なぜなら、中国、韓国と違って、日本がライバルだと思っていないからです。中国は、「中華思想」という世界の中心は、中国だと考えています。韓国も世界の中心国家としての自負があります。

アジア諸国では、中国人、韓国人は、現地人を見下す傾向にあるので、現地人には嫌われがちです。かつての日本もその傾向がありましたが、失われた20年を経て、没落しつつある日本人は、良い意味でプライドがなくなり、アジア諸国と協調しやすい状況です。また、中国の経済的、軍事的な脅威が、親日の傾向を強めている可能性があります。

また日本人には、だますより、だまされた方が良いという美徳があります。日本人はある意味、アジア諸国にとっては気前の良いカモでもあります。何しろ1,600兆円の金融資産があります。長期的円安傾向とはいえ、貨幣価値があるうちに、トライアンドエラーで親日国の親日国民とビジネスをスタートしてみてはいかがでしょうか。
(下記の画像は、アウンコンサルティングによる調査)

3/26/2015

№44 2055年までどうしのぎますか

日本は、世界でも60歳以上の高齢者が多い国です。2013年の国連の統計では、全人口の32%が60歳以上。2位のイタリアが26.9%、3位のドイツが26.8%ですから、日本がいかに突出しているか分かります。理由は明確で、昭和23年(1948年)頃に生まれた「団塊」の世代が多いからです。

また、1970年代生まれの団塊ジュニアも多いのですが、彼らは子供をあまり作らなかったため、「次世代の団塊」が発生せず、高齢化が加速したのです。したがって団塊ジュニアが寿命を迎えつつある2055年頃まで、日本経済の再成長は、若年層の移民を大量に受け入れない限り困難です。

その時点の日本人の平均年齢は52歳以上になります。誰が政治をコントロールしても動かしようがない未来です。2055年以降は、現在の日本人の平均年齢46歳前後に戻るので、現在のドイツ、オーストリア、スイスなどのように、国民1人当たりのGDPが高い国への復帰が見込めます。

そこで、それまでの年月をどうやってしのぐかが、日本人の課題です。世の中全員貧しくなるから、みんなで我慢しようという清貧の思想がもてはやされていますが、これは異常な事態です。特に、被害を被る若年層にとっては迷惑な話です。

今は高齢者の金融資産が1,000兆円以上あるので、それを相続できる幸運な人は痛みを緩和できるでしょう。問題は親に資産がない人達です。財政破綻によるハイパーインフレか、死ぬまで続く賃金減少に耐えなければならないのです。近未来については心配する日本人ですが、遠い将来については、そのときになってから考える異常に楽観的な国民性。あなたは、そのときまでおとなしく待ちますか。それとも何か行動しますか。

3/21/2015

№43 確実に伸びる消費財産業

日本では、2008年から継続して人口が減少しています。経済規模の指標となるGDP(国内総生産)は、大まかに消費、投資、貿易黒字(または赤字)を合計したものです。日本では、GDPの約7割が消費ですから、人口の減少は経済規模の縮小を意味します。

逆に高度成長時代の日本では、敗戦時の1945年に7,200万人だった人口が、ベビーブームで1955年には一気に9,000万人まで増えました。この年の日本人の平均年齢は28歳ですから、消費意欲も旺盛です。自動車、家電製品などの耐久消費財がどんどん売れました。

この時期、安定的かつ確実に売れる、食品、日用雑貨品業界に外資系企業が日本に参入し、大成功をおさめています。コカコーラ、P&G、ネスレ、ユニリーバなどです。不況にも強いため、投資が長期的にリターンに結び付いているのです。

さて、これから2050年に向かって人口が激増するのは、実は中国ではありません。現在に比べてインド、ブラジル、メキシコが1.5倍、インドネシア、フィリピンが1.7倍に増えます。こうした国では、消費財の流通に関われれば、勝ち組といえるでしょう。

3/18/2015

№42 投資とギャンブルの違い

投資とは、生産能力、供給販売能力を高め、将来的に資本を増加させるために行う行為です。これに対し、ギャンブルは、胴元を含め、プラスマイナスゼロのゼロサムゲームです。その意味では、昨今流行りのFXは、ギャンブルです。為替レートが上がるか下がるかに賭ける、丁半バクチです。

本人はギャンブルと思っていない宝くじも、実はギャンブルです。さらに、払ったうち約50%は、公益への寄付金です。私は小学校時代にさんざん宝くじを買い、期待値が低いことに気づいて、購入をやめました。友人の某みずほ銀行支店長に頼まれた時だけは例外ですが。(笑)

株式は、一見FXのような丁半バクチに見えますが、企業価値が増えるにしたがって、プラスである点が投資といえます。短期的にはギャンブルっぽいのですが、市場全体を長期的に見れば、価値が増えているのです。しかし、毎日相場を気にしなければならないため、FXと同様に時間的、精神的自由を大切にする方には向きません。

自由を確保しつつ、投資先の成長、拡大に寄与する投資をしたい場合、残念ながら日本国内には魅力的な投資先が少ないのです。著名なコンサルタントの大前研一さんがオススメするフィリピンでのスモールビジネスに私が投資するのは、こうした理由があります。

3/13/2015

№41 移民が日本を救う

  海外ビジネスに関わると、多様性について意識せざるを得ません。日本は、地理的に世界の端に位置しているため、比較的他国に侵略されずに、固有の文化を維持、発展させることが可能でした。新たな滞在者は、同化、同質化を求められることが多い社会です。

  日本は、少子化による労働人口減少と高齢者急増で、財政破綻が迫っています。移民以外に解決策がない状況です。かつてヨーロッパがたどってきた道のりです。ドイツは、トルコ移民、英国、フランスは旧植民地からの移民で、国力を維持しています。

  日本も旧植民地であった朝鮮系の移民は、人口の2%ほどいますが、日本人に同化したライフスタイルであるため、救世主とはなっていません。一方、比較的同化しない、ブラジル系は出生率が高いのですが、日本の景気悪化により、帰国が相次いでいます。

  同じく出生率の高いフィリピン系は、ビザの要件が厳しくなった影響で、かつてほどは増加していません。かつては、稼げる日本でしたが、円安の影響で収入が目減りして、シンガポール等に比べ魅力にかけます。1970年代まで、豊かでない日本は南米等に移民を受け入れてもらってました。今こそ多様性を受け入れて、若い移民の力を借りる時ではないでしょうか。

3/07/2015

№40 海外ビジネスをやる理由

   海外ビジネスをなぜオススメしているのか。読者の大半は、収入を円で受け取り、資産も円で運用しているのでは、ないでしょうか。ご存知の通り、円安が続いています。昨年秋にフィリピンで両替をしたとき、1万円が4,400ペソでしたが、先月末両替したら、3,580ペソでした。

   フィリピンは、日本に比べ物価が低いですが、半年で20%も円の価値が下がっているのです。日本国内で生活していると気づかないのですが、銀行の預金口座の現金の価値は、じわじわと目減りしているのです。そこで、資産に余裕がある人は、海外の不動産を購入したり、米ドルなどの外貨預金にシフトしています。

   日本は、持ち家志向が強く、子供ができたらマンションや一軒家を購入するのが一般的でした。家賃を払うより、ローンで資産形成する方がメリットがあるという訳です。しかし、人口が減少しているため、将来売るに売れず、固定資産税だけかかる落とし穴があります。

   かつてはアジアの中心は、日本でした。日本に住んで、日本で稼ぐのは成功モデルでした。しかし今やアジアの中心は、シンガポール、香港にシフトして、日本はローカルマーケットの位置付けです。外資系企業で働く欧米人が去ったのは、お気づきですよね。

2/10/2015

№39 日本と日本人へのあこがれ

  初めて海外からの投稿です。昨日から成長著しいフィリピンのマニラに滞在中です。今は乾期で、大寒の日本を離れて最高です。早速昨夜は、現地在住の方々と情報交換をさせて頂きました。人生の半分以上をフィリピンで過ごしているという、強者もいらっしゃり大変刺激を受けています。

  日本からのビジネス目的の渡航者や滞在者が増えており、彼ら向けのビジネスが盛んになっているようです。金鉱ブームのアメリカで、採掘者向けにスコップや日用雑貨品を売って大成功したケースを思い出しました。現地在住の方は、以外と慎重な見方をしており、経済成長が一辺倒ではないことに、かなり注意しているようです。

   私たちは、月に一度もしくは二カ月に一度訪問する程度ですから、感覚が違うのは仕方ありません。平均年齢46歳の日本から来ると、23歳のフィリピンは、明るく希望に溢れて見えます。ショッピングモールは、平日から若者で賑わっています。国中が、渋谷のセンター街のようなものです。

   高度成長を経験した日本人は、彼らにとってみれば未来からきた成功者です。ですから、日本人とビジネスをするのは、フィリピン人にとって、ある意味あこがれでもあります。日本人が、高度成長期にアメリカにあこがれたのと、似通った現象かも知れません。

2/01/2015

№38 中流階層が増える意味

   中流階層が増える国では、爆発的に経済成長します。日本は、かつて、90%の国民が中流だと思う国でした。揶揄を込めて、1億総中流化といわれたものです。1955年からいわゆる高度成長が始まり、1973年のオイルショックで小休止があるものの、1991年のバブル崩壊まで、36年もの長期間、経済規模が拡大しました。

   その時点で日本は、世界第二位の経済大国になりました。その原動力になったのは、人口と年齢構成です。1955年の日本は、中国、インド、アメリカ、ソビエト連邦に次ぐ5番目の人口大国。その時点の日本国民の平均年齢は、28歳です。第二次世界大戦で国内の産業は壊滅しましたが、将来性を見込んだ欧米からの投資が相次ぎ、成長したのです。

   現在のフィリピンは、主要産業が、BPO(Business Process Outsourcing)と、観光しかないため、経済の半分をOFW(Oversea's Filipino Workers)、すなわち海外出稼ぎからの外貨送金に頼っています。実に人口の1割に当たる1,000万人が世界中に出稼ぎに出ています。現在のフィリピン国民の平均年齢は23歳ですから、労働人口は半分程度ですが、毎年新社会人が大量に生まれます。

   フィリピンの人口のピークは、2055年前後で、現在の1.7倍の1億7,000万人に達する見込みです。現在は食品以外は、大半を輸入品に頼っていますが、今後は国内消費をターゲットとした製造業の伸びが見込まれます。フォードが撤退した工場に三菱自動車が進出し、自動車生産が始まりました。現在の大学進学率は10%ですが、OFWからの送金で、大卒が増え、中流の給与所得者が増え、消費が急増すると、多様な産業の発達が見込まれます。

1/22/2015

№37 役に立つ投資と、役に立たない投資

   あなたの投資は、役に立っていますか?日本のGDPは、現在世界3位です。GDP(国内総生産)は、消費、投資、貿易黒字(輸出-輸入)の合計ですが、消費が低迷しているので、無理に投資を増やしているのが日本の現状です。

   投資は、基本的にリターンがあるから、やるものですが、日本の公共投資は、失業者対策の福祉的側面があるため、費用対効果が考慮されていない事業が目白押しです。発電にも、農業、工業用水にも使われない群馬県の八ツ場ダムには、4,600億円が使われます。

   高度成長時代にも、無駄な投資は、多数ありましたが、消費が伸びていたので、それほど深刻な問題ではありませんでした。しかし、工事は、一時的に雇用を生み出し、工事従事者の消費という恩恵があるものの、工事が終われば、雇用も消費も消滅します。

   今一度繰り返します。あなたの投資は、役に立っていますか。あなたの投資したお金が、例えダイレクトにあなたに返って来ないとしても、それが、誰かのもとで、人を豊かにしたり、幸せにしていますか。私のフィリピン人への投資は、自信を持って役に立っていると断言できます。

1/19/2015

№36 円建て資産はハイリスク資産

ぬ   スイスフランがユーロに対して先週3割近く高騰して、FX業者がつぶれたり、大損した投資家がいるようです。為替の世界は、商品相場と同様に素人には難しいと、永らく言われてきました。

   しかし、FXが普及して、手持ち資金の100倍以上に信用で購入できるようになったので、経済や為替の知識がない人まで、市場に参加するようになったのです。8割の人が損して、プロと胴元のFX業者が儲けるバクチのようなものです。 9割以上の人が損をする宝くじよりはマシですが、夢をみたいのは、分かります。

   円安が進み、1ドル120円前後になり、実に数ヵ月で円の価値が、3分の2に目減りした計算です。円安になったおかげで、割安な日本の株式市場に、外貨が流れ込んでいます。それが、日経平均18,000円前後の活況を生んでいます。

   しかし、今後の東京の株式市場では、いかに売り抜けるかが、課題です。2020年の東京オリンピック後の経済低迷が見えているからです。半数の外国人投資家が日本人の1,600兆円の金融資産を狙って、チキンレースをしかけてきます。国内の円建て資産は、ハイリスク資産となりかねないのです。(画像はロイターニュース)

1/17/2015

№35 日経新聞を読まない理由

   日本経済新聞といえば、ビジネスマンが毎朝、目を通すべきといわれる新聞です。電子版合わせて発行部数300万を超える世界トップの経済メディアですから、ビジネス界では、あいさつ代わりに、紙面の内容が交わされます。

   しかし、この15年間、出張でホテルに宿泊する場合以外では、私は日経新聞を読んだことがありません。私の仕事は、経営コンサルタントなので、本来読んでて当然でしょうが、あえて読まないのです。それは、なぜでしょうか。

   それは、必要があれば直接経営者や、現場の方に、お話を聞けばいいと思うからです。日経新聞は、広告主や読者にウケる記事を掲載します。また、記者が取材しないエリアの情報は、ありません。

   例えば、フィリピンは、現在高度成長の真っ最中ですが、日経では、殺人、誘拐、災害の記事しか掲載されません。一方、欧米メディアには、フィリピンは最有望の市場の一つとして、投資家向けに連日情報が提供されています。常識は、メディアにより作られていることを認識した上で、取捨選択すべきなのです。

1/11/2015

№34 チャンスはチャンスのかたちをしていない

   チャンスは、チャンスだと明確に分かるかたちをしていません。なぜなら、分かりやすければ、万人が気付き、もはやチャンスではないからです。だから、大半の人はチャンスが目の前にきても、気づかないで見送ります。

   例えば、フリースという素材が存在していたのに、それをカジュアルウェアに使おうと誰も思いませんでした。ユニクロのオーナーの柳井氏は、そうは思わなかったのです。ゴミをリサイクルしたフリースが素材の洋服を喜んで着る人を想像できたのです。

   ヤマト運輸の、故小倉昌男オーナーは、松下電器(現パナソニック)、三越といった大口顧客を切り捨て、個人間の小口貨物に特化した、宅配便ビジネスに業態転換しました。2人の傑出した、オーナーがユニークなのは、それぞれ早大卒、東大卒というエリートにもかかわらず、先入観や、世間の常識にとらわれなかったことです。

    高学歴かつ一般的に高い職歴を持つ人は、ともすれば過去の成功体験にとらわれ、物事を判断しがちです。チャンスをつかむには、あなた自身の心の曇りを消して、情報や状況に真っ直ぐ向き合うことです。例えあなたより、学歴職歴が劣っていても、あなたにチャンスを持ってきた人の話を真摯に聴き、十分に理解した上で、判断する姿勢を持ちたいものです。(画像は、ヤマト運輸およびファーストリテイリングのウェブサイト)



1/07/2015

№33 海外スモールビジネスの業種(2)

   海外スモールビジネスに適した業種の続きです。スモールビジネスで、以外に知られていないのが、輸出入業です。一部の書類を除けば、ウェブと電話で、手続きが完結でき、お客が訪問してくることもないので、事務所も必要ありません。

   では、何を輸出するのか。それは、農産品および加工食品です。なぜなら、生産者のほとんどが零細規模で、自力で売る力がないからです。さらに、一般品に比べ複雑な輸出入手続きが、待ち構えています。さらに、円安になったものの物価水準の高い日本産品が売れるのでしょうか。

   先進国でありながら、大農業国であるフランスにヒントがあります。例えば、シャンパーニュは、原産地、製法、原料が揃っていなければなりません。エシレバターも同様です。EUには Appellation d'Origine Protégée(原産地名称保護)という制度があり、生産量が管理されているので、高くても売れるのです。

   海外の高級レストランには、国内でも手に入りにくい日本酒が提供され始めています。山口県の旭酒造は、「獺祭」で有名ですが、その最高級品は、1本10万円をはるかに超える値段で売られています。海外での高級日本食材の需要は高まっています。きちんとした生産者、物流業者と組めれば、輸出入業は、スタート可能です。(画像は旭酒造のウェブサイト)

1/05/2015

№32 90%の多数派より行動する10%の少数派

   今日は、正月早々、15歳の娘に対して、これからの日本と、グローバルレベルの変化について学校では教えてもらえない、重い話をしてしまいました。30分位でしたが、最後は脳の処理能力を超えて困惑していたかも知れません。

   今の日本は、これからどうするかという内向きの議論に終始しています。海外から見た日本、日本の外で起きていることという視点に欠けるのです。例えば、フィリピン発のニュースは、殺人、誘拐、強盗、インド発は、名誉殺人、レイプと、マスメディアが片寄った情報を提供しています。

   世の中は、90%のサイレントマジョリティー、すなわち、物言わぬ多数派により成り立っているといわれます。予定調和的な情報は、安心感があるので、受けるのです。現在の日本は必要以上に空気を読んでコミュニケーションする社会なので、予定調和を崩す情報は、マスメディアが流しにくくなっています。

   今後5年間のオリンピックまでの準備期間は、その後に訪れる不況に耐えるための体力増強の時期です。海外投資家は、2020年までに、いかに日本国内資産および円建て資産を売り抜けるか画策しています。そして彼らから目減りする不良資産を売り付けられるのが、物言わぬ90%のサイレントマジョリティーです。

   経済は、ある意味、多数の人間の心理行動に基づくので、私のような意見を持つ人間が多数派だと、更に経済が悪くなりかねないので、現状を否定はしません。しかしこのブログの賢明な読者の皆さんには、行動する10%の少数派として、今後の変化を乗りきって頂きたいです。(公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会ウェブサイト)

1/01/2015

№31 希望の持てる2015年に

   新年おめでとうございます。今年もよろしくお付きあいお願いします。お陰様で、ブログ立ち上げ2カ月、「海外スモールビジネス」で検索すると、GoogleでもYahooでもトップに掲載されるようになりました。

   さて、2015年ですが、マスコミや一般大衆の間では、暗い、危機感をあおるような極端な表現が多いです。しかし、明るい話題もあるのです。世界70億人の人口の内18億人が10歳から24歳の若者です。地図上では、若者の割合が多い国はアフリカに集中しています。

   われわれの身近なアジアでは、フィリピン、ラオス、バングラデシュ、ネパール、パキスタン、アフガニスタン、イラク、シリア、イエメンが若者の比率が30%を超えています。すなわち、今世紀は、こうした国の若者が、世界の多数派になっていきます。

   皆さんが余裕あれば、是非こうした国の出身者と仲良くなりましょう。間違いなく、人生観が変わるほど、豊かな発想力、価値観が得られるはずです。今は貧しくても、未来永劫貧しい国は、あまりありません。日本だってかつては相当貧しい国でしたから。(参照:朝日新聞1月1日朝刊)