2/01/2015

№38 中流階層が増える意味

   中流階層が増える国では、爆発的に経済成長します。日本は、かつて、90%の国民が中流だと思う国でした。揶揄を込めて、1億総中流化といわれたものです。1955年からいわゆる高度成長が始まり、1973年のオイルショックで小休止があるものの、1991年のバブル崩壊まで、36年もの長期間、経済規模が拡大しました。

   その時点で日本は、世界第二位の経済大国になりました。その原動力になったのは、人口と年齢構成です。1955年の日本は、中国、インド、アメリカ、ソビエト連邦に次ぐ5番目の人口大国。その時点の日本国民の平均年齢は、28歳です。第二次世界大戦で国内の産業は壊滅しましたが、将来性を見込んだ欧米からの投資が相次ぎ、成長したのです。

   現在のフィリピンは、主要産業が、BPO(Business Process Outsourcing)と、観光しかないため、経済の半分をOFW(Oversea's Filipino Workers)、すなわち海外出稼ぎからの外貨送金に頼っています。実に人口の1割に当たる1,000万人が世界中に出稼ぎに出ています。現在のフィリピン国民の平均年齢は23歳ですから、労働人口は半分程度ですが、毎年新社会人が大量に生まれます。

   フィリピンの人口のピークは、2055年前後で、現在の1.7倍の1億7,000万人に達する見込みです。現在は食品以外は、大半を輸入品に頼っていますが、今後は国内消費をターゲットとした製造業の伸びが見込まれます。フォードが撤退した工場に三菱自動車が進出し、自動車生産が始まりました。現在の大学進学率は10%ですが、OFWからの送金で、大卒が増え、中流の給与所得者が増え、消費が急増すると、多様な産業の発達が見込まれます。

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