6/30/2015

№52 一時的円高とギリシャ問題

ギリシャ情勢により、一時的に円高になっています。ギリシャが債務不履行(デフォルト)状態になることで、貸し手のEU諸国が打撃を受ける。その思惑で、EUの通貨EUROから、比較的安全な円に資金を避難させる動きがあります。
実は、もう少し深読みをすると、今回ギリシャに強硬に改革を迫っているのはドイツです。ドイツとしては、ギリシャ危機でEUROが安くなると、輸出がしやすくなります。ドイツ銀行などの金融機関が大打撃を受けても、影響は限定的だと考えているかも知れません。
同じく財政状態の悪いイタリア、スペインもデフォルトになると、世界経済にも大きな影響が出るでしょう。さて、同じく毎年収支がマイナス40兆円と財政が最悪な日本はどうでしょうか。国の借金残高は1,000兆円を越えています。
日本の場合、ギリシャなどに比べると、国債の格付けが高いので、低い金利で国債を引き受けてもらえます。しかし、じりじりと日本の格付けは下がり、ムーディーズ、S&P、フィッチいずれも、昨年から今年にかけて上から5番目へと1段階引き下げています。日本国民の金融資産があるうちは良いですが、先行きは不透明です。

6/23/2015

№51 海外投資のリスク

海外投資のリスクというと、為替や、格付けによる安全リスクが一般的です。しかしながら、世界経済が巨大化し、リスク要因も複雑化してきました。

まず、地勢学的リスクがあります。例えば、米中が戦争状態になったとき、日本列島は、中国に対する防波堤として戦場になる可能性があります。北朝鮮が崩壊すると、大量の難民が漂着するでしょう。

次に不確実性のリスクです。経済の規模が小さかった戦前ならば、恐慌から回復する可能性がありますが、現在の巨大な経済は、要素の組み合わせが多すぎて、人知をもって予測できません。10年以内に人工知能が解決するかも知れませんが、そのときは、開発一番乗りが一人勝ちして、残りは貧困層に脱落します。

つまり、極端な状態が起きる可能性があります。すでに時代遅れな、マルクス共産主義による分配が復活し、北朝鮮のように鎖国をする国が増えるかも知れません。21世紀以降のスーパーパワー、中国とインドの選択に世界の未来がかかっているかも知れません。

6/01/2015

№50 日本経済は大丈夫か

日本と同様に経済が低迷しているユーロ圏では、国の家計に当たる財政に、厳格なルールがあります。ユーロ圏では、ギリシャなど財政破綻した国を、他の加盟国が助ける必要があるため、落伍する国を作りたくないのです。

ユーロ圏では、財政赤字はGDPの3%、累積赤字は、GDPの60%を超えると是正勧告を受けます。日本の場合、2014年の財政赤字はGDP比、6.6%、債務残高は、233.8%です。EUの基準では、日本は財政破綻国家です。

では、なぜ日本はギリシャのように、経済が崩壊していないのか。それは、ギリシャと異なり、日本は借金し放題の国だからです。債務の残高は、1,000兆円を超えていますが、日本国民の金融資産は、株高の影響もあり、1,700兆円を超えています。これはアメリカに次いで世界第2位の規模です。

日本国民の資産が大きいので、日本円の信用性が高いのです。乱暴な論理ですが、いざというときには、国民の資産で国の借金を帳消しにできる訳です。遠くない過去に日本は、国民の金融資産を消滅させた実績があります。1948年に新円切り替えにより、現在の価値で、1人当たり100万円を超える金融資産は、消滅させられました。

2020年以降、急激に悪化する日本経済。ハードランディングが避けられない場合、最悪の事態も視野に入れておいた方が良いかも知れません。日本人は近い未来は悲観的、遠い未来には楽観的ですが、その時になってから慌てても、遅いことは歴史が物語っています。