3/26/2015

№44 2055年までどうしのぎますか

日本は、世界でも60歳以上の高齢者が多い国です。2013年の国連の統計では、全人口の32%が60歳以上。2位のイタリアが26.9%、3位のドイツが26.8%ですから、日本がいかに突出しているか分かります。理由は明確で、昭和23年(1948年)頃に生まれた「団塊」の世代が多いからです。

また、1970年代生まれの団塊ジュニアも多いのですが、彼らは子供をあまり作らなかったため、「次世代の団塊」が発生せず、高齢化が加速したのです。したがって団塊ジュニアが寿命を迎えつつある2055年頃まで、日本経済の再成長は、若年層の移民を大量に受け入れない限り困難です。

その時点の日本人の平均年齢は52歳以上になります。誰が政治をコントロールしても動かしようがない未来です。2055年以降は、現在の日本人の平均年齢46歳前後に戻るので、現在のドイツ、オーストリア、スイスなどのように、国民1人当たりのGDPが高い国への復帰が見込めます。

そこで、それまでの年月をどうやってしのぐかが、日本人の課題です。世の中全員貧しくなるから、みんなで我慢しようという清貧の思想がもてはやされていますが、これは異常な事態です。特に、被害を被る若年層にとっては迷惑な話です。

今は高齢者の金融資産が1,000兆円以上あるので、それを相続できる幸運な人は痛みを緩和できるでしょう。問題は親に資産がない人達です。財政破綻によるハイパーインフレか、死ぬまで続く賃金減少に耐えなければならないのです。近未来については心配する日本人ですが、遠い将来については、そのときになってから考える異常に楽観的な国民性。あなたは、そのときまでおとなしく待ちますか。それとも何か行動しますか。

3/21/2015

№43 確実に伸びる消費財産業

日本では、2008年から継続して人口が減少しています。経済規模の指標となるGDP(国内総生産)は、大まかに消費、投資、貿易黒字(または赤字)を合計したものです。日本では、GDPの約7割が消費ですから、人口の減少は経済規模の縮小を意味します。

逆に高度成長時代の日本では、敗戦時の1945年に7,200万人だった人口が、ベビーブームで1955年には一気に9,000万人まで増えました。この年の日本人の平均年齢は28歳ですから、消費意欲も旺盛です。自動車、家電製品などの耐久消費財がどんどん売れました。

この時期、安定的かつ確実に売れる、食品、日用雑貨品業界に外資系企業が日本に参入し、大成功をおさめています。コカコーラ、P&G、ネスレ、ユニリーバなどです。不況にも強いため、投資が長期的にリターンに結び付いているのです。

さて、これから2050年に向かって人口が激増するのは、実は中国ではありません。現在に比べてインド、ブラジル、メキシコが1.5倍、インドネシア、フィリピンが1.7倍に増えます。こうした国では、消費財の流通に関われれば、勝ち組といえるでしょう。

3/18/2015

№42 投資とギャンブルの違い

投資とは、生産能力、供給販売能力を高め、将来的に資本を増加させるために行う行為です。これに対し、ギャンブルは、胴元を含め、プラスマイナスゼロのゼロサムゲームです。その意味では、昨今流行りのFXは、ギャンブルです。為替レートが上がるか下がるかに賭ける、丁半バクチです。

本人はギャンブルと思っていない宝くじも、実はギャンブルです。さらに、払ったうち約50%は、公益への寄付金です。私は小学校時代にさんざん宝くじを買い、期待値が低いことに気づいて、購入をやめました。友人の某みずほ銀行支店長に頼まれた時だけは例外ですが。(笑)

株式は、一見FXのような丁半バクチに見えますが、企業価値が増えるにしたがって、プラスである点が投資といえます。短期的にはギャンブルっぽいのですが、市場全体を長期的に見れば、価値が増えているのです。しかし、毎日相場を気にしなければならないため、FXと同様に時間的、精神的自由を大切にする方には向きません。

自由を確保しつつ、投資先の成長、拡大に寄与する投資をしたい場合、残念ながら日本国内には魅力的な投資先が少ないのです。著名なコンサルタントの大前研一さんがオススメするフィリピンでのスモールビジネスに私が投資するのは、こうした理由があります。

3/13/2015

№41 移民が日本を救う

  海外ビジネスに関わると、多様性について意識せざるを得ません。日本は、地理的に世界の端に位置しているため、比較的他国に侵略されずに、固有の文化を維持、発展させることが可能でした。新たな滞在者は、同化、同質化を求められることが多い社会です。

  日本は、少子化による労働人口減少と高齢者急増で、財政破綻が迫っています。移民以外に解決策がない状況です。かつてヨーロッパがたどってきた道のりです。ドイツは、トルコ移民、英国、フランスは旧植民地からの移民で、国力を維持しています。

  日本も旧植民地であった朝鮮系の移民は、人口の2%ほどいますが、日本人に同化したライフスタイルであるため、救世主とはなっていません。一方、比較的同化しない、ブラジル系は出生率が高いのですが、日本の景気悪化により、帰国が相次いでいます。

  同じく出生率の高いフィリピン系は、ビザの要件が厳しくなった影響で、かつてほどは増加していません。かつては、稼げる日本でしたが、円安の影響で収入が目減りして、シンガポール等に比べ魅力にかけます。1970年代まで、豊かでない日本は南米等に移民を受け入れてもらってました。今こそ多様性を受け入れて、若い移民の力を借りる時ではないでしょうか。

3/07/2015

№40 海外ビジネスをやる理由

   海外ビジネスをなぜオススメしているのか。読者の大半は、収入を円で受け取り、資産も円で運用しているのでは、ないでしょうか。ご存知の通り、円安が続いています。昨年秋にフィリピンで両替をしたとき、1万円が4,400ペソでしたが、先月末両替したら、3,580ペソでした。

   フィリピンは、日本に比べ物価が低いですが、半年で20%も円の価値が下がっているのです。日本国内で生活していると気づかないのですが、銀行の預金口座の現金の価値は、じわじわと目減りしているのです。そこで、資産に余裕がある人は、海外の不動産を購入したり、米ドルなどの外貨預金にシフトしています。

   日本は、持ち家志向が強く、子供ができたらマンションや一軒家を購入するのが一般的でした。家賃を払うより、ローンで資産形成する方がメリットがあるという訳です。しかし、人口が減少しているため、将来売るに売れず、固定資産税だけかかる落とし穴があります。

   かつてはアジアの中心は、日本でした。日本に住んで、日本で稼ぐのは成功モデルでした。しかし今やアジアの中心は、シンガポール、香港にシフトして、日本はローカルマーケットの位置付けです。外資系企業で働く欧米人が去ったのは、お気づきですよね。

2/10/2015

№39 日本と日本人へのあこがれ

  初めて海外からの投稿です。昨日から成長著しいフィリピンのマニラに滞在中です。今は乾期で、大寒の日本を離れて最高です。早速昨夜は、現地在住の方々と情報交換をさせて頂きました。人生の半分以上をフィリピンで過ごしているという、強者もいらっしゃり大変刺激を受けています。

  日本からのビジネス目的の渡航者や滞在者が増えており、彼ら向けのビジネスが盛んになっているようです。金鉱ブームのアメリカで、採掘者向けにスコップや日用雑貨品を売って大成功したケースを思い出しました。現地在住の方は、以外と慎重な見方をしており、経済成長が一辺倒ではないことに、かなり注意しているようです。

   私たちは、月に一度もしくは二カ月に一度訪問する程度ですから、感覚が違うのは仕方ありません。平均年齢46歳の日本から来ると、23歳のフィリピンは、明るく希望に溢れて見えます。ショッピングモールは、平日から若者で賑わっています。国中が、渋谷のセンター街のようなものです。

   高度成長を経験した日本人は、彼らにとってみれば未来からきた成功者です。ですから、日本人とビジネスをするのは、フィリピン人にとって、ある意味あこがれでもあります。日本人が、高度成長期にアメリカにあこがれたのと、似通った現象かも知れません。

2/01/2015

№38 中流階層が増える意味

   中流階層が増える国では、爆発的に経済成長します。日本は、かつて、90%の国民が中流だと思う国でした。揶揄を込めて、1億総中流化といわれたものです。1955年からいわゆる高度成長が始まり、1973年のオイルショックで小休止があるものの、1991年のバブル崩壊まで、36年もの長期間、経済規模が拡大しました。

   その時点で日本は、世界第二位の経済大国になりました。その原動力になったのは、人口と年齢構成です。1955年の日本は、中国、インド、アメリカ、ソビエト連邦に次ぐ5番目の人口大国。その時点の日本国民の平均年齢は、28歳です。第二次世界大戦で国内の産業は壊滅しましたが、将来性を見込んだ欧米からの投資が相次ぎ、成長したのです。

   現在のフィリピンは、主要産業が、BPO(Business Process Outsourcing)と、観光しかないため、経済の半分をOFW(Oversea's Filipino Workers)、すなわち海外出稼ぎからの外貨送金に頼っています。実に人口の1割に当たる1,000万人が世界中に出稼ぎに出ています。現在のフィリピン国民の平均年齢は23歳ですから、労働人口は半分程度ですが、毎年新社会人が大量に生まれます。

   フィリピンの人口のピークは、2055年前後で、現在の1.7倍の1億7,000万人に達する見込みです。現在は食品以外は、大半を輸入品に頼っていますが、今後は国内消費をターゲットとした製造業の伸びが見込まれます。フォードが撤退した工場に三菱自動車が進出し、自動車生産が始まりました。現在の大学進学率は10%ですが、OFWからの送金で、大卒が増え、中流の給与所得者が増え、消費が急増すると、多様な産業の発達が見込まれます。