2/10/2015

№39 日本と日本人へのあこがれ

  初めて海外からの投稿です。昨日から成長著しいフィリピンのマニラに滞在中です。今は乾期で、大寒の日本を離れて最高です。早速昨夜は、現地在住の方々と情報交換をさせて頂きました。人生の半分以上をフィリピンで過ごしているという、強者もいらっしゃり大変刺激を受けています。

  日本からのビジネス目的の渡航者や滞在者が増えており、彼ら向けのビジネスが盛んになっているようです。金鉱ブームのアメリカで、採掘者向けにスコップや日用雑貨品を売って大成功したケースを思い出しました。現地在住の方は、以外と慎重な見方をしており、経済成長が一辺倒ではないことに、かなり注意しているようです。

   私たちは、月に一度もしくは二カ月に一度訪問する程度ですから、感覚が違うのは仕方ありません。平均年齢46歳の日本から来ると、23歳のフィリピンは、明るく希望に溢れて見えます。ショッピングモールは、平日から若者で賑わっています。国中が、渋谷のセンター街のようなものです。

   高度成長を経験した日本人は、彼らにとってみれば未来からきた成功者です。ですから、日本人とビジネスをするのは、フィリピン人にとって、ある意味あこがれでもあります。日本人が、高度成長期にアメリカにあこがれたのと、似通った現象かも知れません。

2/01/2015

№38 中流階層が増える意味

   中流階層が増える国では、爆発的に経済成長します。日本は、かつて、90%の国民が中流だと思う国でした。揶揄を込めて、1億総中流化といわれたものです。1955年からいわゆる高度成長が始まり、1973年のオイルショックで小休止があるものの、1991年のバブル崩壊まで、36年もの長期間、経済規模が拡大しました。

   その時点で日本は、世界第二位の経済大国になりました。その原動力になったのは、人口と年齢構成です。1955年の日本は、中国、インド、アメリカ、ソビエト連邦に次ぐ5番目の人口大国。その時点の日本国民の平均年齢は、28歳です。第二次世界大戦で国内の産業は壊滅しましたが、将来性を見込んだ欧米からの投資が相次ぎ、成長したのです。

   現在のフィリピンは、主要産業が、BPO(Business Process Outsourcing)と、観光しかないため、経済の半分をOFW(Oversea's Filipino Workers)、すなわち海外出稼ぎからの外貨送金に頼っています。実に人口の1割に当たる1,000万人が世界中に出稼ぎに出ています。現在のフィリピン国民の平均年齢は23歳ですから、労働人口は半分程度ですが、毎年新社会人が大量に生まれます。

   フィリピンの人口のピークは、2055年前後で、現在の1.7倍の1億7,000万人に達する見込みです。現在は食品以外は、大半を輸入品に頼っていますが、今後は国内消費をターゲットとした製造業の伸びが見込まれます。フォードが撤退した工場に三菱自動車が進出し、自動車生産が始まりました。現在の大学進学率は10%ですが、OFWからの送金で、大卒が増え、中流の給与所得者が増え、消費が急増すると、多様な産業の発達が見込まれます。

1/22/2015

№37 役に立つ投資と、役に立たない投資

   あなたの投資は、役に立っていますか?日本のGDPは、現在世界3位です。GDP(国内総生産)は、消費、投資、貿易黒字(輸出-輸入)の合計ですが、消費が低迷しているので、無理に投資を増やしているのが日本の現状です。

   投資は、基本的にリターンがあるから、やるものですが、日本の公共投資は、失業者対策の福祉的側面があるため、費用対効果が考慮されていない事業が目白押しです。発電にも、農業、工業用水にも使われない群馬県の八ツ場ダムには、4,600億円が使われます。

   高度成長時代にも、無駄な投資は、多数ありましたが、消費が伸びていたので、それほど深刻な問題ではありませんでした。しかし、工事は、一時的に雇用を生み出し、工事従事者の消費という恩恵があるものの、工事が終われば、雇用も消費も消滅します。

   今一度繰り返します。あなたの投資は、役に立っていますか。あなたの投資したお金が、例えダイレクトにあなたに返って来ないとしても、それが、誰かのもとで、人を豊かにしたり、幸せにしていますか。私のフィリピン人への投資は、自信を持って役に立っていると断言できます。

1/19/2015

№36 円建て資産はハイリスク資産

ぬ   スイスフランがユーロに対して先週3割近く高騰して、FX業者がつぶれたり、大損した投資家がいるようです。為替の世界は、商品相場と同様に素人には難しいと、永らく言われてきました。

   しかし、FXが普及して、手持ち資金の100倍以上に信用で購入できるようになったので、経済や為替の知識がない人まで、市場に参加するようになったのです。8割の人が損して、プロと胴元のFX業者が儲けるバクチのようなものです。 9割以上の人が損をする宝くじよりはマシですが、夢をみたいのは、分かります。

   円安が進み、1ドル120円前後になり、実に数ヵ月で円の価値が、3分の2に目減りした計算です。円安になったおかげで、割安な日本の株式市場に、外貨が流れ込んでいます。それが、日経平均18,000円前後の活況を生んでいます。

   しかし、今後の東京の株式市場では、いかに売り抜けるかが、課題です。2020年の東京オリンピック後の経済低迷が見えているからです。半数の外国人投資家が日本人の1,600兆円の金融資産を狙って、チキンレースをしかけてきます。国内の円建て資産は、ハイリスク資産となりかねないのです。(画像はロイターニュース)

1/17/2015

№35 日経新聞を読まない理由

   日本経済新聞といえば、ビジネスマンが毎朝、目を通すべきといわれる新聞です。電子版合わせて発行部数300万を超える世界トップの経済メディアですから、ビジネス界では、あいさつ代わりに、紙面の内容が交わされます。

   しかし、この15年間、出張でホテルに宿泊する場合以外では、私は日経新聞を読んだことがありません。私の仕事は、経営コンサルタントなので、本来読んでて当然でしょうが、あえて読まないのです。それは、なぜでしょうか。

   それは、必要があれば直接経営者や、現場の方に、お話を聞けばいいと思うからです。日経新聞は、広告主や読者にウケる記事を掲載します。また、記者が取材しないエリアの情報は、ありません。

   例えば、フィリピンは、現在高度成長の真っ最中ですが、日経では、殺人、誘拐、災害の記事しか掲載されません。一方、欧米メディアには、フィリピンは最有望の市場の一つとして、投資家向けに連日情報が提供されています。常識は、メディアにより作られていることを認識した上で、取捨選択すべきなのです。

1/11/2015

№34 チャンスはチャンスのかたちをしていない

   チャンスは、チャンスだと明確に分かるかたちをしていません。なぜなら、分かりやすければ、万人が気付き、もはやチャンスではないからです。だから、大半の人はチャンスが目の前にきても、気づかないで見送ります。

   例えば、フリースという素材が存在していたのに、それをカジュアルウェアに使おうと誰も思いませんでした。ユニクロのオーナーの柳井氏は、そうは思わなかったのです。ゴミをリサイクルしたフリースが素材の洋服を喜んで着る人を想像できたのです。

   ヤマト運輸の、故小倉昌男オーナーは、松下電器(現パナソニック)、三越といった大口顧客を切り捨て、個人間の小口貨物に特化した、宅配便ビジネスに業態転換しました。2人の傑出した、オーナーがユニークなのは、それぞれ早大卒、東大卒というエリートにもかかわらず、先入観や、世間の常識にとらわれなかったことです。

    高学歴かつ一般的に高い職歴を持つ人は、ともすれば過去の成功体験にとらわれ、物事を判断しがちです。チャンスをつかむには、あなた自身の心の曇りを消して、情報や状況に真っ直ぐ向き合うことです。例えあなたより、学歴職歴が劣っていても、あなたにチャンスを持ってきた人の話を真摯に聴き、十分に理解した上で、判断する姿勢を持ちたいものです。(画像は、ヤマト運輸およびファーストリテイリングのウェブサイト)



1/07/2015

№33 海外スモールビジネスの業種(2)

   海外スモールビジネスに適した業種の続きです。スモールビジネスで、以外に知られていないのが、輸出入業です。一部の書類を除けば、ウェブと電話で、手続きが完結でき、お客が訪問してくることもないので、事務所も必要ありません。

   では、何を輸出するのか。それは、農産品および加工食品です。なぜなら、生産者のほとんどが零細規模で、自力で売る力がないからです。さらに、一般品に比べ複雑な輸出入手続きが、待ち構えています。さらに、円安になったものの物価水準の高い日本産品が売れるのでしょうか。

   先進国でありながら、大農業国であるフランスにヒントがあります。例えば、シャンパーニュは、原産地、製法、原料が揃っていなければなりません。エシレバターも同様です。EUには Appellation d'Origine Protégée(原産地名称保護)という制度があり、生産量が管理されているので、高くても売れるのです。

   海外の高級レストランには、国内でも手に入りにくい日本酒が提供され始めています。山口県の旭酒造は、「獺祭」で有名ですが、その最高級品は、1本10万円をはるかに超える値段で売られています。海外での高級日本食材の需要は高まっています。きちんとした生産者、物流業者と組めれば、輸出入業は、スタート可能です。(画像は旭酒造のウェブサイト)